メールとはなにが違うか

「チャット」と「メール」では根本的な仕組みが違います。Eメールは常に「メールアドレス」間でのやり取りになります。メールアドレスはこの世に2つとして同じものはなく、ユニークな情報です。そして各メールアドレスはメールサーバと接続され、メールサーバに届いたそのアドレス宛のEメールを参照することになっています。

メールサーバからはそのアドレスのアカウントが設定されたメールクライアントに「メールが届いた」という通知が送信されます。そのタイミングでメールクライアントはメールを受信したり、新着メールがある旨を利用者に通知し、受信するかどうかを訪ねたりするのです。

メールを受信するためにはメールアドレスが必要ですが、メールを送信するためにもメールアドレスが必要です。つまり、メールは「差し出し人」と「受取人」がいてはじめて成立するコミュニケーションなのです。メールアドレスは誰かが「所有」しているものです。つまり、スパムメールであれなんであれ、メールが届けば「誰かが自分のアドレスに送ってきた」ということになるのです。

対して、チャットはメールとは違います。どのようなツールでチャットをするのかにもよりますが、チャットでは共通の「ログ」を互いに参照します。それはリアルタイムで同時に同じものを参照することになります。そして、そのログを参照すると同時にログに「書き込み」を行うこともできます。書き込むことでログは更新され、それをまた同時に参照します。つまり、チャットはひとつの紙に互いに文字を書き合う筆談のようなものなのです。メールはまさに「手紙」、郵便にたとえてもいいでしょう。

チャットはその性質上、確実に「相手」はいるものの、同じ紙、つまりログを参照できれば誰とでもコミュニケーションをとることができます。Eメールでは「アドレス」を知らなければやり取りはできません。チャットで参照するログ自体はインターネット上に設置されたテキスト情報です。チャットのタイプにもよりますが、ブラウザなどでその情報を定期的に更新し、表示するようなプログラムが動作していることが多いです。チャットに「参加する」ということは、そのログを見たり、そのログに書き加えたりする取り組みに参加するということです。インターネットに接続でき、ブラウザが対応していれば誰でも可能なことになるでしょう。

開かれたチャットである場合、そこにアクセスできれば誰でも誰とでもコミュニケーションができます。そしてその一部始終は同じログを参照する人が共有できるのです。メールではアドレスが必要であることに対して、チャットではログファイルを参照することが出来ればいいというわけです。

チャットとメールは同じ「テキスト」でのやり取りになるのですが、その仕組みがまるで違います。チャットでのログはそのまま残ってしまい、衆目にさらされることもありますから、個人情報や機密情報を記したりすることは避けた方がいいでしょう。あくまでも軽い交流を行うための手段として、誰に見られても良いように捉えておきましょう。メールはメールクライアントに情報が残りますから、過去のやり取りなども整理して参照することができますが、それはそのメールを送信した人、そして同時に受信した人しかわからないものです。

 

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